職場の知恵：チップ・コンリー氏とのインタビュー

今日はチップ・コンリー氏をお迎えし、知恵と仕事の関係、またAirbnbのホストコミュニティが氏のキャリアにどう活かされているのかについてお話をうかがいました。 コンリー氏は長年ブティックホテルチェーン経営者、Airbnb戦略アドバイザー、作家、ホストの理解者として多大な貢献をしてこられました。そのレガシーは今なおホストコミュニティの大きな大きな心の支えになっています。 新著『Wisdom@Work: The Making of a Modern Elder』は、年齢を重ねるということの概念を一から問い直し、知恵を後世に伝え、新たな学びを求める学生回帰の機会と捉える本です。

Q：コンリーさんは、ホスピタリティとAirbnbのホストコミュニティに長年貢献してこられました。 今回の新作でもさまざまな知恵を紹介されていますが、お仕事の経験から得たヒントは何かありますか？
コンリー氏：「何よりも今はホストコミュニティが懐かしいですね。 会社でリーダーとしての役割を務めていた4年間は、世界中を旅しながら、ホストのみなさまから本当に多くのことを学びました。 古くから『知識ある人は語り、知恵ある人は耳を傾ける』と言われていますが、ホストのみなさまは優れた聞き手でありながら全体への貢献も惜しまない、本当にすばらしいコミュニティだと感じました。 『群衆の知恵』（全世界のAirbnbホストコミュニティ）から得た学びは計り知れません。新著ではテクノロジー支配が進む今の世界の中で人間の英知を大切にする必要性を訴えています」

Q：知恵を大切にするコンリーさんの姿勢からホストが学んで日々のホスティングに活かせることは？
コンリー氏：「自分の年齢の半分くらいの平均年齢の若手社員に囲まれAirbnbで働いたのは5年半（最後の1年半はコンサルタントとして）。とても興味深い経験でした。 特に少し年齢が上の人のためにも同年代の自分ががんばらなきゃなと思って最善を尽くしました。 Airbnbでは50歳以上のホストが、ゲストの満足度ではほかのどの年齢層のホストよりも群を抜いて高いスコアを出しており、ブライアンも共同創業者の2人も非常に喜んでくれています。 これにはいくつか理由があると思います。おもてなしのスキルアップに時間をかけて取り組めますし、人の感情をくみ取る力（すばらしいホストには欠かせない資質）は年齢とともに成長します。それに退職後の収入源として長期的にホスティングに向き合う姿勢などもプラスに働いているのではないかと思います。 特定の年齢層が知恵を独占しているとは思いませんが、知恵は時間をかけて培うことで、やがて実になり収穫できる資質なのです」

Q：ご自身の人生を振り返ってみて、20代、30代、40代、それ以降でおもてなしの姿勢はどう変わりましたか？
コンリー氏：「ジョワ・ド・ヴィーヴル・ホスピタリティ（Joie de Vivre Hospitality）を創業したのは20代半ば（1987年）で、米国初のデザイナーズホテルチェーンのひとつでした。旅行者はそれぞれの好みに合った、ローカル色の強いホテルを求めているというコンセプトで事業を展開しました。 そのときフロントデスクの肩書きを『フロント係』から『ホスト』に変更していたので、ホスティングという概念そのものは32年以上も前から自分の中にあったことになります。 24年間その会社のCEOを務め、52軒のデザイナーズホテルをオープンしました。そのうち世界的な大手ホテルチェーンにまでデザイナーズホテルの影響（デザインを重視し、レストランとバーの質を上げ、地域色を感じられる滞在にもっとこだわるなど）は波及してゆきました。 Airbnbの国際ホスピタリティ戦略部門責任者に就任したときには、ホームシェアの波はデザイナーズホテル革命を大規模にしたものなんだな、という目で捉えていましたね。自分がブティックホテルで展開した地域密着型のおもてなしをAirbnbのテクノロジーの力を借りれば世界展開できる、と。 5年半前にAirbnbに誘われたとき、ブライアン・チェスキーに『ホスピタリティ産業を民主化するにはどうすればいいと思いますか？』と聞かれたのを覚えています。 Airbnbは最高のホストコミュニティと二人三脚でまさにそれをやってのけたのだと思います」

Q：これからホストをはじめる人にひとつアドバイスするとしたら、それは何でしょう？
コンリー氏： 「世界中の優秀なホストに共通して言えるのは、スケジュール管理能力が非常に高く、温かくて人の気持ちに寄り添える資質を備えているということです。 正反対の資質ですから、一長一短のホストもいます。でも両方兼ね備えている人なら、かなり成功できると思います。カップルで足りないところを補い合うのでもいいです」

Q：ご自身のこれからのこともぜひ教えてください。 次にすることはお決まりですか？
コンリー氏：「ブライアンと経営陣の戦略アドバイザーはこれからも続けます。 『Wisdom@Work』の執筆では、いろいろな方たちから話を聞いて、人生とキャリアを見つめ直したいと考えている中高年の仲間がこんなにたくさんいるのに、せっかく人生半ばで目覚めてもそれを支援するリソースがさっぱりないことを痛感し、 中高年から学べる世界初の知恵の学校Modern Elder Academyを開校しました。ここでは生徒が人生の経験を見つめ直す場所とツールの提供に力を入れています。 メキシコのバハ・カリフォルニア州南部にあるカボ・サン・ルーカスの北1時間の海辺にあるキャンパスですから、再びホスピタリティ事業に戻ったのです。 世界中から生徒さんが続々と集まっていますよ」

コンリー氏の新著とModern Elder Academyについて詳しくは、コンリー氏のウェブサイトをご覧ください。

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